ムッシュかまやつ - Allora... (1994)

ムッシュかまやつ「やつらの足音のバラード / Allora...」のアナログを買った。これ、世に出回るの初めてなのでは。数日前に偶々インスタで見かけるまでは7インチの存在すら知らなかったし、いくら検索かけても出てこなかった。いやでもインターネットに載ってないことなんて本当はいくらでもあるんだよな、もう完全に麻痺しちゃってて、ネット見れば何でも分かるような気になってるだけで。

でまあこのレコード是が非でも欲しい、幾ら出してもいい、なんならインスタに上げてた方にどうにか譲っていただけないでしょうかと連絡してみようかとさえ思っていたところ、ココ吉で売ってる旨教えていただいたので速攻購入した次第。最高のレコ屋です。マジで。

A面は恐らくムッシュの楽曲の中で最も有名な「やつらの足音のバラード」のセルフカヴァー。たぶんこの録音が初の本人歌唱? で、B面がこの「Allora...」。KENWOODの同名コンポのCMに使われてたから恐らくはタイアップありきで作られたんじゃないかと思ってるんだけど、タイアップでこんな濃い曲書いてるのほんとにヤバい。シングルのみのリリースだったんだけど、00年代に出たベスト盤に収録されている。高校生のころに初めてムッシュの音源に触れたのがこのベスト盤だったんだけど、「ゴロワーズ」と並んで異質な印象でよく聴いてた。ムッシュは歌詞に固有名詞を持ってきて雰囲気を作るのが抜群に上手いよなー、「ゴロワーズ」しかり「二十才の頃」しかり。あと、歌声は勿論なんだけど、話してる時の声がめちゃくちゃ良いんだよな。

のちにMalcolm MclarenがCatherine Deneuveとデュエットしてる「Paris Paris」聴いた時になんとなくこの曲に雰囲気が似てると思ったんだけど、リリース年が同じ1994年。そういう気分のあった時代だったんだろうか。どちらもフランスのことを外国人が歌ってる、というのも偶然の一致(ムッシュの場合、曲名はイタリア語だけど)。

ところでこの曲の冒頭に出てくる"Jean CocteauがJean Maraisを描いたクロッキー"、ほかの楽曲や文章など色んなところで触れられるんだけど、確かのちに某TV番組で贋作だと鑑定を受けたはず(ソース確認できず)。でもこんな名曲が生まれるきっかけになってるんなら本物だろうが贋作だろうがどっちでもいいし、むしろ「贋作だった」って所まで含めて素敵だなって思う。それに、ほんとうは本物だったのかもしれないし。